「第一回ゲスト 恒松正敏」

「Be Your Slave」
 

ナンバ: おききいただきましたのは。E.D.P.Sでアルバム「ブルースフィンクス」から「Be Your Slave」でした。

地引: ナンバさんはE.D.P.S聴くのは初めてなんでしょ。どうですか?

ナンバ: 初めてです。これはほんと3人でやってらっしゃるんですか?

恒松: この曲はゲストでバイオリンで山岸君ってのが入ってますけど、基本的には割とライブでは特にそうなんだけど少人数でやるっていうのが。フリクションもトリオでE.D.P.Sもトリオで割と3人で演奏するっていうのが基本的にすきかな。

ナンバ: 重厚ですよね音が。かっこいいです。

地引: 考えてみるとステージ姿と音がぴったり合ってたんだよね。それがよかったのかも。
ナンバ: ライブはさぞや、かっこよかったでしょうね。

地引: よかったよかった。

恒松: ステージは見たことないんだけどね。(笑)

ナンバ: 何年くらいに活動されてたんですか?

恒松: えっとねこのアルバムの時は、83年から84年かそれくらい。

地引: 考えたらもう20年近く経ってる(笑)

ナンバ: ほんとだ(笑)

恒松: いやもう大昔の話

ナンバ: ぜんぜんでも洗練されてる感じですよ。

地引: そうなんだよね。こういうのって時代性が強いっていうパンク、そのときそのときの時代を反映してるてのが多いんだけど、マッチャンの場合、音楽的な普遍性の高さっていうかパンクであってすらもそれがあるという気がするよね。

恒松: うんうん。それはうれしい。それはいつも目指しているようなとこもあって、やっぱりスタイルだけじゃないっていうかな。

地引: だからね、今聴いてもその時代的な古さとか新しさとか関係なくいいなあと思えるという気がするんだけど。

ナンバ: 20年前というと、えっ、て感じですけどぜんぜん古い感じしないですよね。

地引: ということでここで前半、ほんと駆け足ですけど、ツネマツマサトシの歴史と日本インディーズ・パンク・オルタナティブの歴史を重ねつつ振り返ってたんですけど、ここでちょっとインディーズピックアップというコーナーに入りたいと思います。

ナンバ: はい、このコーナーでは、日本のインディーズの名盤や稀少盤、また新譜をお届けいたします。で地引さん今回はなにを?

地引: 今日は、ゲストが恒松正敏さんということもありまして、さっきいった東京ロッカーズのムーブメントの中でフリクション、リザード、ミラーズ、S-KENというバンドが中心になって動いてたんですけど、その中でミスターカイトという、唯一女性ボーカルのバンドだったんですよね。音源はゴジラレコードのシングルが1枚と東京ロッカーズのオムニバズ盤が出てる中で2曲入ってるだけでなかったんだけど、今年の春にその当時のライブが一枚アルバムになってリリースされたんで、その中から聴いてみたいと思います。
ミスターカイトはマッチャンも個人的に親しい間柄で。

恒松: うんうん、ミスターカイトのギターやってたワクっていうのがいて、それはもうほんとに70年代頭くらいかな、東京ロッカーズとかいうもうだいぶ前から高円寺ぶらぶら歩いて酒飲んだりとか、そういう友達だったんで。僕なんかそのあたりから東京ロッカーズなんかの流れにつながってくようなとこがあるんですけどね。

地引: やっぱり高円寺ってそういう、なんていうのかな。。

恒松: なんかね、妙に今はもうないけどロック喫茶っていうのがやたらあの付近にあったし、みんななんかよくあんなにボッと時間つぶしてたなっていう苦い、もう朝はやってないけど昼過ぎからよるまでずっといたしね(笑)。

地引: ライブハウスみたいのはそんなになかったんだよね。

恒松: ライブハウスはあんまりなかったし、スタジオもなかったから、そういうロック喫茶いくと「メンバー募集」っていう張り紙がよくあって。ま、それでさっきいったミスターカイトのワクなんかと知り合うんだけど。

地引: じゃあそのミスターカイトの20数年ぶりに世に出たライブ、これもいままで音源化されてなかった曲からなんですけど聴いてみましょう。

ナンバ: それではお聞きください。ミスターカイトで「ライブイノセント」から。「東京メイクアップシティ」


Be Your Slave」…
CD「Blue Sphinx」収録

 

 

「東京メイクアップシティ」
 

ナンバ: お聞きいただきましたのは、ミスターカイトで「ライブイノセント」から「東京メイクアップシティ」でした。

地引: 番組後半では、恒松正敏もう一つの顔という「画家」としての、まあ最近そっちのほうがメインになっちゃってるんだけど、その話とか最近の音楽活動の話など中心に聴いてみたいと思います。

実は、このE.D.P.Sのブルースフィンクスのジャケットがマッチャンの絵を使ってるんだよね。なんとねこの方は、実は東京芸大の油絵科の大学院までいってられるというね。

ナンバ: 大学院までですか、すごいですね。

地引: 実はものすごいアカデミックな絵画教育を受けているという。

恒松: 大学院を中退してるんだよね。その頃にゴジラレコードやったりフリクションやり始めたりしてて、それでまあ僕は別に学歴が欲しくて芸大入った訳ではないので、そのときに自分に必要なのはやっぱり音楽と思って。

地引: ぜんぜんやめちゃったの?

恒松: やめちゃった。どっか心の隅にはまた絵には戻るというのはあったんだけど、とりあえずはもう、若さもあって目先のやりたいことをやるという。

地引: 実際、その初期の頃のマッチャンの、もうとても芸大性という感じじゃなくてライブハウスの中でも一番鋭いというか危ないというか目つきが怖いというか、うっかり近寄れないような雰囲気を漂わせてたんだけど、後で実は、と聴いてびっくりしたことを覚えてますが。

恒松: …うん(笑)

地引: まあ、そういう時代だったんでしょうね(笑)
それがまたなんで絵に戻ったんでしょう。

恒松: さっきも言ったようにいつか絵に帰るような気持ちのあったんだけども、まあいろいろね、そのころ30代入ったくらいだったかな、親父が死んじゃったりとかね、そういうことがあって、でまあ、びっとこう今絵に戻る時かなって。それで逆に音楽捨ててしまったわけではないんだけど。まあそれで今はその音楽続け絵も描き続けているという。ちょっと欲張りな(笑)。

地引: 前に聴いた話では、学校の先生と因縁というか不思議な結びつきがあったんだよね。
恒松: あ、それは芸大の?ああ、うん、恩師というかね。これも話だすと長いからなあ(笑)まあ、かわいがってくれたというか僕の絵をかってくれてた先生がいて。結局大学院にはその先生のクラスには入ったんだけどそれを途中でやめてしまうというどうしようもないことをしてしまったんだけども。

地引: ふつうだったら破門という。

恒松: もう(笑)、でフリクションとかやってる時も今絵は描いてないけど僕はこういうことをやってると、アルバムとかを送ってて、それで一本の糸が切れずにつながっていたんですね。それで、また絵を始めた時に先生とつながっていくと。ふつうだったらまずはもう破門というかそういう状況だったという。

地引: そういう人にも恵まれていたという。

恒松: そうかもね。うんうん。

地引: もちろん絵のほうが中心みたいになってはいても、音楽のほうは続いていて、その一番新しいアルバムの中からの一曲をここで聴いてみます。

ナンバ: それではお聞きください。ツネマツマサトシ&VISIONS、アルバム「1999ルナティックアニマル」から「渇きの海」



東京メイクアップシティミスターカイト
CD「Live Innocent」収録。

 

 

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