第二信(2001年7月) さらば『フォーカス』

「フォーカス」が休刊となった。7月25日号で僕も取材を受けた。81年はこの写真週刊誌誕生の時であり、僕の「パリ人肉事件」のあった年でもある。他のメディアが僕を忘れていく中、この雑誌だけは僕を追い続けた。


イラスト:佐川一政

 この号には、こんな一筋がある。「…でもその中でも FOCUSの写真はボクのお気に入りばかりです」。僕の言葉として書かれているのだが、僕はこんなことは言っていない。FRIDAYと比べてマシだったと言っただけだ。
しかも続けてこう書いてある。「かつて人肉魔とまでいわれた人物からいただく『お褒めの言葉』」。相変わらず皮肉っぽいが、発言の内容まで変えてもらっては困るね。

 はっきり言って、殊に盗み取りの頃は、僕の生活や人生を変えてしまうような影響を受けている。アダルト・ヴィデオ出演の際も、僕に断りなくカメラマンが来ていた。しかもかつて FOCUSにいた新潮社の人物に、「こんなヴィデオに出るから本が出せなくなるんだよ」とまで言われている。

 それに比べると、ロス疑惑の三浦和義には呼び捨てでもなく、クンづけでもない。ちゃんと氏がついていて、記事の内容もひどく腰が引けている。また訴えられるのを恐れているのだろうか。訴訟までされたのだから怒ったらいいのだ。三浦は一美さん殴打事件で有罪となったのだから、立派な前科者である。しかも銃撃事件は、現在も最高裁で審理中である。真っ白な男では決してない。

 そもそも僕は、この男の田舎芝居がかったあざとい卑しさが吐き気を催す程嫌いだ。

 しかし日本のどのメディアも、訴えられるのを恐れて、彼のことを批判しなくなった。
ああ、世も末だ。

七月三十日  佐川一政(さがわいっせい)
  

 


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