1979 8/28〜9/2 at Sinjuku LOFT |
今回の「DRIVE TO 2000」の原型とも言えるイベント、DRIVE TO 80'sは、今から20年前の1979年8月28日から9月2日の6日間にわたって、新宿ロフトを舞台に行われた。
その前年から盛り上がり始めた日本のパンク・ニューウェーブ・ムーウメントのエポックメーキングなイベントとなったこの「DRIVE TO 80's」には、パンクロックの発火点となった「東京ロッカーズ」と呼ばれた一群のバンドから、メディアの話題を集めた「テクノポップ」の旗手達まで、当時のシーンを代表する殆ど全てのバンドが集結した。
ロフトの動員記録を塗りかえたこのイベントは、日本のニューウェーブ・シーンを一挙に浮上させただけでなく、結果的にその後のライブハウスの方向性をも形作ったのだった。当時はまだニューミュージック主体だった新宿ロフトは、その後次第にロックのメッカとなり、ライブハウスを中心としたロック・シーンが大きく育っていったのだ。
DRIVE TO 80's 出演バンド: |
フリクション、アーントサリー、不正療法、HI-ANXIETY、プラスチックス、自殺、ノイズ、フレッシュ、S-KEN、ヒカシュー、Mr. カイト、ザ・スタークラブ、ミラーズ、81/2、サイズ、P-MODEL、リザード、マリア023 、突然段ボール、ノン、モルグ、BOYS BOYS 、螺旋、バナナリアンズ
それから20年、その間には様々なシーンの変化もあり、音楽のスタイルも実に多様化してきたが、DRIVE TO 80's に出演したミュージシャンで、今なお第一線で活躍する人達も数多い。
当時と同じバンド名で活動しているのが、フリクション、ヒカシュー、P-MODEL、突然ダンボール、そして当時名古屋から参加したザ・スタークラブ。 そのうちヒカシュー、突然段ボール、ザ・スタークラブは今回も参加。P-MODELは新しい大プロジェクトの真っ最中ということで残念ながら出演はかなわなかったが、インターネット関連の分野でいろいろとアドバイスをしてもらい、平沢進氏の提案によるMP3による音楽配信を実行することになった。
フリクションは現在メンバーがそろっていないため事実上ライブは無理ということだが、当日までメンバーがそろえば出演の意思はあることは示してくれている。
フリクション ヒカシュー P-MODEL 突然段ボール ジュネ
さらに、バンドの形態や音楽スタイル、活動ジャンルが変わって、今回参加してくれるアーチストも少なくない。
フリクションのギタリストだった恒松正敏は恒松正敏&VISIONS として、ドラマーだったチコ・ヒゲはチコ・ヒゲ&ザ・ユニットとして、それぞれ自分のバンドで出演。マリア023として出演したジュネがオートモッドを率いて出演。東京ロッカーズの旗振り役だったS-KENは現在プロデューサーとして活躍しているが、HOT BOM BOMSをオリジナルメンバーで再結成。
81/2の久保田慎吾と上野耕路は久々に手を組んで結成した「捏造と贋作」で出演。フレッシュのボーカリストだった高木完がその後ヒップホップ・シーンで活躍したのは周知の通りだが、このイベントでは東京ブラボーをほぼオリジナルメンバーで再結成して登場する。また、東京ブラボーの坂本ミツワはこの他にスーパーフィメールバンド、ブルームーヴィーでも出演するが、彼女もS-KENのメンバーとして「DRIVE TO 80's」に参加していた。なお、29日オールナイトには久保田慎吾と高木完が主演した手塚眞監督のデビュー作『星くず兄弟の伝説』も上映される。
S-KEN 久保田慎吾 フュー ミラーズ プラスチックス関西から参加して当時の話題をさらったアーントサリー、そのボーカリストであったフューは今回新ユニットBIG PICTURE として出演。また、アーントサリーのギタリストだったビッケも自らのバンドLOVE JOYで出演する。
日本で最初のパンクバンド、ミラーズのリーダーだったヒゴ・ヒロシは、現在ではレイヴDJとして各地の野外パーティなどで活躍しているが、今回ヒゴのプロデュースによるレイヴ・パーティが30日にオールナイトに企画されている。またミュージシャンとしても恒松正敏&VISIONS に参加している。
さらにプラスチックスのメンバーとして「DRIVE TO 80's」の舞台に立った立花ハジメが、今回はパンフレットのデザインやヴィジュアル・イメージを担当。イベントに広がりを加えている。
ちなみに「DRIVE TO 80's」の企画者の一人であり、今回の企画にも参画している清水寛は、自らのバンド、コンクリーツを率いてミュージシャンとしても登場する。
(文・写真 地引雄一)