第四信(2001年9月)女性に呪縛されていた僕──さらば女性!
僕は今まで、白人女性を中心に、女性という存在に呪縛され続けてきた。
チビで醜悪の外見にも拘らず、性欲だけは盛んで、しかしセックスレスのまま、若い頃よりあまたの女性達に憧れつづけ、振り回され、それが為に、あまりにも多くのものを失ってしまった。
かの人肉食事件以前に於いても、すべてが女性中心に回転していた。関西の大学の大学院に入ったのも、好きな女性がその大学に入学した為である。大学院でも、勉学に身が入らず、一人のかわいい女性に好かれ、嫌われながら、その娘のことばかりを考え、そして傷ついていった。
フランスに渡ってからも、娼婦から学友に到るまで、女性ばかりが頭に。そして遂に女性を殺害し(もちろんそのお肉を食べる為に)、すべてを放棄してしまうことになる。
更に事件後も、フランスと日本の精神医療の効果もなく、すぐに白人女性を求めて風俗店に出入りし、“自由”の身になると、故中川一政画伯という偉大な師に恵まれながら、何と、セックスをしに真鶴の拙宅まで通ってくるアメリカ人の女性の絵ばかり描いていた。
そして極めつきは、拙書『殺したい奴ら』(データハウス)に詳しく描いた如く、白人の二人の女性から全財産を強奪されることとなった。何回か外国旅行をしたのも、すべて彼女達の為で、言われるがままにお金を出していったのだ。
決して懲りることのない僕は、遂に彼女達の働いている大阪にまで通うこととなり、その度に、十万、二十万の大金をすべて彼女達に注いでしまう。そして今日、遂に僕の過去が彼女達の日本人の女性の友人を通して暴かれ、何度電話しても完全無視。ひとえに忌まわしき過去を隠してつき合ってきた僕が悪いのでしょうか・・・。
しかし今、心は不思議に開放されて、これまでに知らなかった程に楽になった。部屋に飾りたてていた女性達の写真もすべて捨て去った。世のもてない男性諸君に、僕はあえて言いたい。女性の存在など一切忘れてしまいなさいと。そうしたら、今のあなた方の潜在能力が一度に発揮され、幸せになれます。
幼い僕は、母に連れられ、手相をみられに行ったそうだ。占い師は僕の掌をみるや、一辺に青くなって、「オッ!女難の気(け)あり!」と叫んだ由。
こんな僕であるが、それでも真摯な思いを寄せてくれる女性はいる。そういう女性のみを、僕は大切にすべきだ。“女難”は自ら招いたものである。
九月二十五日 佐川一政(さがわいっせい)
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