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丹野賢一/NUMBERING MACHINE
「009-COLLAR」「010-SKIN」「011-DOT 」「012-RAG」


2000年11月21日(火)
六本木オリベホール(公演は20〜21日)

 これまで大がかりな装置でのパフォーマンスで知られていた丹野賢一が、今回うって かわって、衣装とメイクのみによってステージを展開するという。その衣装を担当する のが「イーター」でも連載しているポワレティカの流川リコ。というわけで、いままで 中々観ることのできなかった丹野賢一の公演に、期待とちょっぴり身内的不安を持ちつ つ初めて足を運んだ。

 会場のオリベホールの広いホールには立島夕子の強烈な絵が一面に飾られ(立島夕子 はイーター8号で紹介予定)、開演前の場内にはなぜかSKY FISHERの曲が流れている。

 突然、ステージに黒い衣装の丹野賢一が登場。激しいエレクトロニック・ノイズのサウンドとともに、NUMBERING MACHINE の世界が始まる。

その最初の一撃で、丹野賢一の感性がスパッと伝わってきた。そうか、これは舞踏でもたんなるパファーマンスでもなく、一つの世界を作り上げる試みなのか。衣装とサウンドと照明と、そして何より彼自身の身体の動きによって、イメージが生みだされ、広がっていく。

 今回は、四つの衣装による、四つの短い作品を組み合わせたもので、最初が黒い詰め襟の服。直線的な力強くスタイリッシュなイメージ世界が繰り広げられる。詰め襟の服の下には、真っ黒なカラスの羽が体を覆っている。

 二番目は皮膚。白い全身タイツに腰の周りに何かがまとわりついたような異様な恰好での登場に、「なんだ、これは」と目をこらすと、腰の周りにあるのは小腸の塊だ。文字通り内臓的なヌメーッとした動きに、パート1とは全く違った粘膜的世界が広がる。

 次はまたがらりと変わって、ピンクに黒い水玉のテラテラしたエナメル状の服。テクノポップ的なサウンドに乗って、両手をバタバタするしぐさがとってもキュート。さしずめデジタル・ポップのイメージ世界か。

 最後は、クラシックギターの伴奏にボロボロの麻の服(メタリックなツギハギが目につく)で、意表をついた、いかにも舞踏らしいシンプルなステージング。踊りながら客席の後方まで進むと、そこでなんと音楽担当の松本じろがアコースティックギターを生で弾いている。それを知った客席に静かな驚きが広がった。ただ音楽にのって踊っているのではなく、サウンドとパフォーマンスのライブなコラボレーションだったのだ。素に近いかたちで踊る姿にちょっと感動すらさせられてしまった。

 丹野賢二が繰り広げる様々なイメージ、それは観ている者のイマジネーションをどんどんと広げていくようだ。新たな可能性に挑戦する姿勢が強く感じられる、予想以上に見事なステージだった。

 終演後、ロビーで衣装担当の流川さん達と話す。丹野賢一の言葉を基にアイデアを練って服をデザインし、その衣装からまた丹野賢一がイメージを広げていく。そのコラボレーションの過程も興味深かった。充実感した気分での会話が続いた。(J)

Link:

丹野賢一
http://www.uniteddigital.com/%7Ejcdn/tanno.htm


 

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