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 Live Report


ROVO

2000年9月1日(金) 法政大学学館大ホール

 待望のROVOのワンマンライブ。会場が法政ということもあって、踊るというより演奏を聴きにきたお客が多い感じ。しかし場内は天井からのデコレーションにブラックライト、サイケなVJと、すっかりパーティの雰囲気になっている。

 DJ HIGOのプレイで徐々に空気も活気づくなか、30分ほどしてメンバーが登場。そのままHIGOのDJを加えてROVOの演奏が始まる。一曲目からテンションは急上昇し、曲の終盤にはわけがわからなくなる程の凄まじいエルネギーの渦が。「スゲエ、スゲエ!」という声が周りから聞こえる。ROVO初体験の人も多いようだ。

 HIGOが退場し、メンバーだけによる演奏に。次々と繰り広げられるROVOの音世界は、各メンバーの聴かせどころをしっかりと押さえながら、緩急自在に会場の空気をコントロールしていく。中盤で今度はDJ FORCEが加わり、DJとメンバーそれぞれとセッション。ひとつひとつが面白い。そのあとはもう、ROVOの音に自然に体が反応して、学館ホールを埋め尽くした満員の観客の踊りの渦に一体化していった。

 ROVOの音楽については、その音楽的スケールの大きさや、リズム展開の見事さが 語られることが多い。それはもちろんなのだが、今回その演奏をよく聴いてみて、ROVOのサウンドを方向付けているのは、やはりこのグループの発起人である山本精一と 勝井祐二の二人なのだと感じられた。ROVOの音の持つ高揚感は、トランスと言われるものと近いのかもしれないが、それは精神を高揚し浄化するようなものではなく、ど こか狂気をはらんでいるようだ。やはり、この二人、根がパンク/ジャンクなだけに、 ノーマルな音楽的評価の中にはすんなりとは納まらない。特に勝井祐二のバイオリンの 音色は、ハーメルンの笛吹きのように、聴く者を彼岸へと誘うような異様な力を持って いる。

 ROVOのクライマックスでは、聴いてる人間の精神が、凄まじいばかりの音のエネルギーに嵐のようにかき回され、危険な一線をも越えてしまいそうですらある。ハードコアのライブでケガ人が救急車で運ばれることがあるが、ROVOのライブで気がふれた客が救急車で運ばれるなんてことがあってもおかしくない。ROVOにはさらに大きな可能性が広がっているとともに、類稀な魔力をも秘めていると実感した一夜だった。(J)


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まぼろしの世界/勝井祐二

 


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