石井聰亙監督のDVD BOX第2弾『石井聰亙作品集DVD BOXU〜PSYCHEDELIC YEARS〜』の発売を記念したイベント、『DESTROY YOURSELF All
about 石井聰亙in Tokyo』が渋谷のユーロスペースで1月19日から始まった。06年に発売した第1弾、そして今回の第2弾のDVD
BOXに収録されている作品はもちろん、未DVD化・ビデオ絶版の作品から全国ロードショーされた作品まで、21作品を2週間にわたり一挙レイトショー上映する。
初日の上映は、石井監督の代表作の1つであるバイオレンス・コメディ『逆噴射家族』。
石井監督が舞台挨拶に登場し、ファンの暖かい拍手で迎えられた。司会はライターのわたなべ りんたろうさん。(以下、石井聰亙監督=石井。わたなべ
りんたろうさん=わたなべ)
石井「上映をするために作った作品がほとんどなので、やはり映画館で上映されるのは大変嬉しく思います。」
わたなべ「『逆噴射家族』は、石井監督がディレクターズ・カンパニーで撮った作品で、家族を舞台にした戦争映画とよく言われていますね。この映画がデビュー作の工藤夕貴さんからメッセージが届いています。」
ハリウッド映画でも活躍されている女優の工藤夕貴さんからのサプライズムービーコメントでは、
『逆噴射家族』のオーディションの時には実は歌手志望で、受かってしまってショックを受けたこと、しかしその作品が工藤さんの人生にとって大きな転機になったこと、海外へ行くと今でも本作を覚えていてくれる外国人の方がいて、日本人でいることを痛快な気持ちにさせてくれる映画だと実感していると、工藤さんならではの、なかなか聴くことのできないお話をしてくれました。
石井「(『水の中の八月』でデビューした)小嶺麗奈さんと話した時も、『オーディションには落ちたかった』って同じこと言っていましたね(笑)。それと似ているのは、本当はどちらの役柄も高2とか高3の女の子を捜していたんですよ。その年代の人たちに会ってたんだけど、どうしても良い人がいなくて、たまたま2人ともこちらが想定していた年齢より全然若いんですけど、会ってみたら面白かったんですよね、とても。」
わたなべ「工藤さんがTV−CMなどで有名だった頃ですか?」
石井「テレビでは、割と物怖じしない発言をしていたと思いますね。その分、弾けたところがいいなと。本音で話すし、でもその言葉と逆に本能的に芸に対する強い素質を感じましたし、その矛盾が面白かった。」
わたなべ「同作品で狂った受験生役で出てもらった有薗さんはどうでしたか?」
石井「有薗君は前にも仕事をしていましたし、僕が大好きだった第3エロチカという劇団から出てきた人だったので、その芝居を観ていましたから、彼のキャラクターと能力は把握していて、あの役柄はぴったりだと思っていたので、凄く信頼していました。」
わたなべ「(『逆噴射家族』は)イタリアのサルサ映画祭でもグランプリを獲っていますが、海外でうけたことに驚いたそうですね。」
石井「外国の映画祭に持って行きたいという事にびっくりしたし、自分の意図と違うところで映画って見られるんだなと。もちろん、世界中の人に楽しんでもらいたいという思いはあったんですが、海外ではうけないと思っていましたね。」
わたなべ「ノイバウテンのブリクサも気に入って、『半分人間』(24日上映)の監督に抜擢されましたね。」
石井「映画のパワーですね。監督の意図なんてちっぽけなもんなんですよ。こういう人に観てもらいたいと思って、お客さんを思い浮かべて撮ってみても、その通りになった試しはありませんし。不思議です。それも映画の魅力でしょうね。」
今後も、『狂い咲きサンダーロード』など初期作品をはじめ、『爆裂都市 BURST CITY』『DUMB NUMB LIVE FRICTION
1989』『ELECTRIC DRAGON 80000V』『五条霊戦記』ほか、伝説的な作品が続々と上映される。 このチャンスを見逃すな!
(レポート提供・トランスフォーマー)