<その30>いい男

渡辺学君通称ナベちゃん。

「犬まがい」というバンドをやっているが、私は2〜3年前に一度しかそのステ−ジを見ていない。見なくても分かってる、どんな音を作ってるか。彼は店によく寄ってくれるから、あれこれと人となりが分かって濃密に交流している。といっても、たいした話をしているわけでもない。一週間も会わないと「どうしてるのかな?」と思わせる。

不思議な男。

バンドと店の関係というより人と人との基本的な関係がまず成立できる気持ちのいい男。素敵なバンドをやってるから、いい男なのではない。いい男がたまたまバンドをやってるだけの事。誤解しないでほしいのは「犬まがい」がダメなバンドと言っている訳ではない事を付け加えとこ。別にどうでもいい事だ、単純にバンドの良し悪し。赤の他人なんて無責任なもんだから音についてアレコレ自分の趣味で評論家してしまうもんだ。バンドの事は当のバンドしか解らない。人として、そんな事は人生の枝葉に過ぎない。根幹を正直に見せてしまうから、いい男なのだ、ナベちゃん。

一緒に小旅行をした時から薄々感づいていたが、無理のない几帳面さで我々を和ませた。

或る日、レストランでのオーダー後、随分待たされてる仲間を気使ってか、色々なエピソードを交えて「こんな筈じゃない」と我々に熱弁する彼。私、笑った。怒りに変わらないあたりも、和ませる。

先日、フジヤマの店頭で「縁日」と称してみんなで出店を意味なくやった。私は「輪投屋」、非常階段のJOJOは「福袋屋」、他のお馬鹿さん達はそれぞれ「金魚すくい屋」だったり「やきそば屋」だったり「お面屋」だったり。ナベちゃんは「たこやき屋」。生まれてはじめて作ったという大胆ぶりだが、案外売れてた。売れてよかった、とにかく細かいのだ、その作り方が。必死ってやつ、絶対に料理で計量カップ使うタイプと見た。たかがタコヤキ、されどタコヤキってか。その綿密さに大笑いした失礼なヤツは、私。

「売るんだから、ちゃんとしないと」

志高し。美しい言葉でした。

アバウトの教祖を担う私にとって、まさに未知との遭遇。

そんなこんなで「癒し系ナベちゃんの夏」も過ぎてしまうと孤独な冬が来る。ナベちゃんには、いい意味で真面目が故に孤独な寂寥感を抱かせてしまうモノを感じてしまう。人は2面のベクトルを持っている。

そんな人が「いい男」の条件なのかも知れない。


2002年10月4日

 

 

日付   商品名 形態 値段
(税抜き)
購入者へのコメント
9/10(月) 定休        
9/11(火)  
golden syrup lovers/HUE

CD
\2000 随分迷ってたみたいですね、私はお客さんが何を買ってくれるのか当てるのが得意なのですが、見事ハズレました。ちょっと悔しかったりして。
9/12(水) エコエコサイクルズ/1ST CD
\2000 この日はナゼかエコエコと割礼のCDばかり売れました。
9/13(木) idiot o'clock/original first album CD \2800
「アルケミーフェア」のシール貼りっぱなしのCDを見て、まだ有効ですかねと聞かれたけど「フジヤマで買ったら、オヤジが大丈夫じゃない?と言ってた」と言いなさいな。大丈夫でしょう、多分。
9/14(金) ペーターズ/dario ソノシート \100 他のナゴムのアナログはまだ店のどっかに眠ってるはずなんだよね、ただ思い出せないんだよ、眠ってる場所。年は取りたくないね。
9/15(土) アンティック・フォークロア/空へ CD \2500 目的買いのように、この一枚素早く買ってくれたのに驚きました。又、いらして下さいね。
9/16(日) VA/電子玩具・その2 CD \2300 キャプテン・トリップのCDが大量入荷して、まだ店に全部出し切れてないのに買ってくれてありがとう!

 

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