<その25>本日廃棄処分


写真:渡辺 正

永年私にこき使われてきたブーツがぼろぼろになったので、どうしたもんか迷っている。

捨てるに捨てられない、実に履きよい靴で20年は履いてきただろうか、そんな靴。余りにかかとが磨り減って、かかとが無くなってしまったので、去年同じような新しいブーツを買っていたのだが、どうしても履きにくい、足に違和感が残る。永年履いてきたブーツの足になってしまっていたのだ。

で、古女房みたいなブーツは今年になっても履き続けてたんだけど、ある雨の日長靴代わりにどしゃどしゃ威勢良く履いて、こじゃれた喫茶店でお茶してた。そのおしゃれで真新しい板床に並んだ私のブーツをふと見やると、酷い光景。酷いというより、まるでオブジェのよう。
年に1回か2回しか手入れしない古ブーツは実用を越えて鑑賞用になってしまっていて、感傷的にすら思えて「う〜ん」と唸ってしまった。

ブーツを脱ぎ、自分のテーブルから少し離れた床のいい位置に、そのオブジェを置き腕ぐみしながら鑑賞。

さしずめタイトルはなにがいいだろう「シューズ 2002」じゃ気取ってるし、「追憶」じゃ世間知らずな高校美術部生みたいだ。珈琲が冷めてしまう程の時間を費やして考えてたらウエートレスの姉さんが近寄って来て「どうしたんですか?」

「なんか良くない?その靴」と言うと怪訝そうに笑われた。珈琲飲みながら自分の靴を凝視してるだけの変な人に思われるのもシャクだから「タイトルはなにがいいか迷ってるんです」と追い討ち。

冷静になって、よくよく考えてみたら余計変な人に思われたんじゃないかなぁ。
姉さんはタイトルのヒントを教えてもくれず「はあ」と気の無い返事を残して去って行った。そんな事に構ってる暇はないのだろう、気持ちはわかる。でも、なぜだか私はタイトルつけてあげたくなったのだ。永年頑張ってきたブーツだ。そのぐらいの価値はあるし、ブーツ側の権利もある。

「本日廃棄処分」

これに決めた。

単なるモノから人格を得るまでに至ってしまったモノを元に返してあげるのだ。


2002年1月27日

 

 

日付   商品名 形態 値段
(税抜き)
購入者へのコメント
1/21(月) 定休        
1/22(火) 富士山の古絵葉書 
ポストカード

\150 浮世絵カードなどたくさん買ってくれた外国人に感謝
1/23(水) アスホール・ブルース・プレイヤーズ/teenage power mother fucker kick it!
CD
\1300
夜に灯油が切れてしまい寒くてすいませんでした。
1/24(木) EATER vol.8
雑誌
\800
丁寧にいろいろ見てくれてありがとうございます。こういう大人の人が来てくれると店の整理や在庫の品だしを怠れないなぁ.....と、いつも思うんだけど気持ちばかりで実行できないダメな私。今年はマジで店内整理するつもりです.....と宣言しておこう。
1/25(金) VA/post modern
CD

\2800

大阪の堀の内さん、バラッドのもの全部買ってくれてありがとう!
1/26(土) じゃがたら/君と踊りあかそう日の出を見るまで
CD
\2400

この日なんでか「じゃがたら」凄く売れたと思ったら前日じゃがたら関係のイベントがあったんですってね、OTOのサインもらって良かったね!
1/27(日) フールズ/no more war〜地球の上で

CD \2500

フールズはいい!楽しいし。

 

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